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10月 2014

遺贈の意図を明確にする

具体的な財産を指定して、相続人または第三者に対して遺言により贈与することを、特定遺贈という。何が誰に遺贈されるか明確であるという点で、相続開始後の紛争を予防することに役立つが、注意しなければならないこともある。遺贈の対象になっている財産以外の相続財産との関係がどうなるか、という事についての意図を明確にする必要がある。

例えば財産の総額が1000万円で相続人AとBがいるとする。遺言に、「Aに現金300万円与える」とある場合、次の三つのうちいずれかの意図があると推測される。


1.「法定相続分(この場合500万円)のうちAに現金を300万円与える」(中立的遺贈)

2.「Aに遺産総額1000万円のうち、現金300万円のみ与える」(限定的遺贈)

3.「Aに遺産総額1000万円のうち、現金300万円を余分に与える」(先取的遺贈)


民法は、限定的遺贈や先取的遺贈の意思がはっきり遺言で示されているというような特段の事情の無い限り、1の中立的遺贈を予定しているが、遺言があるのは良いがその解釈で争いになる可能性がある。それぞれの解釈によって、以下のように取り分が変わってくるからだ。(その他の事情はここでは無いものとしている)

限定承認と財産分離

相続が開始したことを知ってから3か月以内に、相続人は以下を選択することになる。

・単純承認・・・プラスの財産もマイナスの財産もひっくるめて相続する。
・限定承認・・・プラスの財産からマイナスの財産を清算して、残りを相続する。
・相続放棄・・・プラスの財産もマイナスの財産も相続しない。

これらのうち、単純承認は何らかの手続きを要するわけではない。3か月の熟慮期間中に限定承認の手続きも相続放棄の手続きもなさない場合、または財産を処分したり隠匿・消費したりすると単純承認となる(民法921条)。921条の解釈については、改めて書きたい。

複雑なのは限定承認だ。遺産が全体としてプラスになるかマイナスになるか分からない相続人にとっては最も有利な選択肢と思えるが、手続きが煩雑であるというデメリットがある。手続きの大まかな流れを以下に記す。

1.まず財産目録を調整
2.家庭裁判所に限定承認の申述
3.相続債権者・受遺者への公告・催告
4.(二か月以上後)不動産等の換価(競売)
5.民法929条-931条に基づく弁済
6.4の期間中に申し出なかった相続債権者・受遺者への弁済
7.相続人固有の財産との融合

限定承認の手続きは、相続人がイニチアシブをとって行うものだが、ほぼ同じことを相続債権者主導で行うことができる。それが「財産分離」の制度だ。相続財産がそれなりにあるが、相続人が債務超過に陥っている場合、相続財産から弁済を受けなければならない債権者・受遺者の利益が害される恐れがあるからだ。