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【行政書士のお役立ちブログ】

遺言

遺贈の意図を明確にする

具体的な財産を指定して、相続人または第三者に対して遺言により贈与することを、特定遺贈という。何が誰に遺贈されるか明確であるという点で、相続開始後の紛争を予防することに役立つが、注意しなければならないこともある。遺贈の対象になっている財産以外の相続財産との関係がどうなるか、という事についての意図を明確にする必要がある。

例えば財産の総額が1000万円で相続人AとBがいるとする。遺言に、「Aに現金300万円与える」とある場合、次の三つのうちいずれかの意図があると推測される。


1.「法定相続分(この場合500万円)のうちAに現金を300万円与える」(中立的遺贈)

2.「Aに遺産総額1000万円のうち、現金300万円のみ与える」(限定的遺贈)

3.「Aに遺産総額1000万円のうち、現金300万円を余分に与える」(先取的遺贈)


民法は、限定的遺贈や先取的遺贈の意思がはっきり遺言で示されているというような特段の事情の無い限り、1の中立的遺贈を予定しているが、遺言があるのは良いがその解釈で争いになる可能性がある。それぞれの解釈によって、以下のように取り分が変わってくるからだ。(その他の事情はここでは無いものとしている)

「その他の財産」相続させる遺言

遺言に記しておくべき相続財産の代表的なものは、土地・建物、預貯金が代表的です。不動産はそれなりの額の財産ですし、名義変更の手続きを円滑にする意味でも遺言に書いておかなければ、と思うものです。また預貯金の流動資産も相続人にとっては使い易い財産であり、分け易い財産すから自ずと関心事となるものです。
 
ほとんど資産価値のない土地や、あまり残高の多くない預貯金口座はどうするべきでしょうか?「どうせほとんど価値がないんだから、遺言には書かなくてもいいかな」と考えるかもしれませんが、ぜひ遺言に含めましょう。
 
というのも、資産価値は無くても不動産の場合固定資産税や都市計画税を誰かが払わなければなりませんし、相続の問題は避けられません。預貯金にしても、口座の解約等の手続きは必要となりますから、遺言(特に公正証書遺言)があればスムーズです。わずかの残高しかない口座のために相続人全員が遺産分割協議書や金融機関所定の払い戻し請求書に署名押印しなければならなくなるのはかわいそうです。
 
それで、主だった財産以外の細かな財産も「その他一切の財産は○○に相続させる」と書き添えれば丸くおさまるはずです。

特別受益の持ち戻し免除が有効か

被相続人が生前、相続人の誰かに財産を贈与していた場合、この相続人が 「特別受益」 を得ていたとされることがあります。(民法903条)
 
903条によれば、財産の相続分の算定においてこの特別受益の分を考慮することとされています。いわゆる「特別受益の持ち戻し」というものです。
 
例えば、生前に1000万円の贈与が特別受益にあたる場合、相続財産にその1000万円を戻して各自の相続分を計算し、その後受益相続人の相続分から1000万円を引くのです。これは以前のブログ「生前の資金援助と遺産分割」で触れたことがあります。
 
しかし、遺言でこの特別受益の持ち戻しを免除することもできます。903条3項に、
 
被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、
  遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。
 
とあるからです。ちなみに、この3項の中の「前2項の規定」とは、特別受益の額が相続分の額と同じかそれ以上なら相続分はもうありませんよ、という規定です。
 
特別受益を得ていながら相続分も免除されるなんて、他の相続人から見るとかなり不公平な感じもします。しかし、家庭の事情もそれぞれで、何をもって平等とするかは単純な問題ではありません。依頼を受ける専門家も、「表面的な平等」をやみくもに振りかざすのではなく、依頼者のお話をじっくりお聞きし、背景をよく知る必要があると思います。

外国人による遺言

日本に滞在する外国人はどのように遺言を作成することができるのでしょうか。
 
「遺言の方式の準拠法に関する法律」 の第2条に、
 
「遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする
 
一 行為地法
二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した国の法
四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法」
 
とあります。つまり、日本に滞在している外国人は、遺言をする場所としての日本の法律が認めた方式(一号:行為地法)か、自国の法律(二号:国籍を有した国の法)で遺言書を作成することができます。
 
日本に滞在する外国人が日本の方式で遺言を作るための法的根拠は前述の行為地法の要件が全てをカバーするので、住所(三号)や常居所(四号)は問題にならないかと思います。ただ、公正証書遺言を残したい場合、短期滞在やビザなしで3か月以内の滞在となっている方は住民登録されませんので、やはり一号の行為地法の問題となります。印鑑登録もできませんので、通常は印鑑証明書を提出するところですが、パスポート等の文書を提示したうえで拇印や指印で押印すれば足りるようです。 それ以外の在留期間の外国人は住民登録され、印鑑登録もできますので印鑑証明書を提出することになるでしょう。

公正証書遺言作成時の証人

遺言を公正証書で作成する場合、証人2人の立ち合いが必要です。(民法969条1号)では、誰が証人となることができるのでしょうか?
 
民法974条に「証人及び立会人の欠格事由」が定められています。
 
「次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人」
 
ですから、成人で、相続に関係ない人で、遺贈によって贈与されない人で、公証役場で働く人の親族でなければ誰でも証人になれます。
 
証人は何のために立ち会うのでしょうか?
 
民法969条4号には、
 
「遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押す」
 
とあります。遺言者本人が自己の意思に基づいて遺言していること、また公証人による筆記が正確であることを確認して、署名押印するのが証人の任務です。
 
信頼できる友人に証人を頼むこともできるかもしれませんが、財産の内容を知られるのには抵抗があるものです。それで、公証役場に予め証人を手配してもらう(有料)か、行政書士等の専門家に報酬を払って依頼することもできるでしょう。公正証書遺言の作成・手続きをすでに依頼しているなら、大抵の場合はその行政書士等が証人の1人になってくれるはずです。

自筆証書遺言の日付

公正証書遺言よりも自筆証書遺言のほうが手軽で費用もかからないことから、「自筆証書遺言での作成を考えている」 というお問い合わせが多いと感じます。もちろん、自筆証書遺言も民法で規定されたれっきとした遺言ですから、きちんと書けば(遺言書の効力としては)何の問題もありません。(遺留分の問題、内容によって親族関係がぎくしゃくしないかどうかは別問題です。)
 
自筆証書遺言をきちんと書くための要素の一つに日付があります。日付は、客観的に特定できる、暦上の具体的な日を記載する必要がありますので、平成○○年○月○日 という書き方でも、2013年○月○日 という書き方でも良いということになります。
 
また、客観的・具体的に特定できれば良いので、「75歳の誕生日」 とか 「平成○○年12月末日」 という記載でも良いとされています。「40年目の結婚記念日」 という方法も有効となり得ます。
 
いずれにしても、日を特定できなければなりませんから、シンプルに「平成25年~」 や 「西暦2013年~」 で記載するのが安全でしょう。
 
ちなみに、自筆証書遺言は前文「自書」しなければなりませんから、日付印などで日付を押すだけにとどまると、遺言は有効性を欠くことになりますから注意しましょう。

「泣く子も黙る」 公正証書遺言

自筆証書遺言を作る場合、費用はほとんどかかりません。紙とペン、それから封筒を用意すればよいのです。もちろん、行政書士等の専門家に内容の起案を依頼すればその報酬は支払わなければなりませんが、自筆証書遺言は基本的に費用ゼロで(または比較的安価で)作成できるのです。そこが最大のメリットでしょう。
 
対して、公正証書遺言にはそれなりに費用が掛かります。まず、公証役場へ支払う公証人手数料があります。それから、証人を行政書士等に頼めば2人で2万円前後(遺言作成を依頼している行政書士に頼む場合は、証人としての報酬がすでに含まれている場合が多い)。もちろん遺言内容の起案や必要書類の収集、公証人との事前打ち合わせを行政書士等に依頼すればその報酬(報酬額は事務所によってまちまち)も支払います。戸籍、固定資産税評価証明書、不動産登記簿の写しを取得するための手数料も必要です。
 
特に、公証人への手数料の算定が気になるところです。これは、遺言に含める財産の価額の大小、また相続させる人の数によって変わりますから、当HPの「遺言書の基礎知識」をご覧ください。
 
このように、公正証書遺言にはそれなりの費用が必要となります。「遺言は書きたいけれど、公正証書はお金がかかるから自筆がいい」とおっしゃる方も実際多いと言えます。もちろん自筆証書遺言もきちんと書けば問題はないでしょう。しかし、相続発生後の手続きのスムーズさを公正証書遺言と比べると、天と地との差があります。遺言の内容に納得がいかない相続人も、遺言が公正証書なら「ゴネる」余地は皆無となるのです。まさに「泣く子も黙る」公正証書遺言というわけです。

遺言の訂正について

遺言の内容を訂正したい場合、民法では厳格な方式が要求されています。
 
民法968条2項 「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変   
            更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなけ
            れば、その効力を生じない」
 
つまり、①遺言者自身による訂正であり、②変更場所を示し、③変更したことを余白に記してそこに署名しなければならないということです。このように厳格な方式が定められているのは、他者による改ざんを防ぐためと言えます。
 
この方式に従わない加除訂正は無効ですが、その部分が無効になるだけであって、遺言自体が無効になるわけではありません。しかし、訂正部分が無効で、元の記載も判別できなくなっており、その判別不能部分が遺言の有効性に必須の部分である場合は、言うまでもなく当該遺言そのものが無効になります。
 
方式を厳格に守れば訂正することはできますが、できることなら、訂正するより遺言そのものを書き直したほうがよいでしょう。

包括遺贈より特定遺贈

遺言で、特に第三者に財産を譲るために 「遺贈する」 という表現を用いることがあります。
これは、法定相続人に対して用いる 「相続させる」 という表現と効果が異なってきますから、相続人に対して用いる場合は特定の効果を狙う場合のみとなります。
 
さて、この「遺贈」には、「包括遺贈」 と 「特定遺贈」 があります。
 
「包括遺贈」 とは、遺産の全部または一定の割合を遺贈することで、「○○に財産の4分の1を遺贈する」 という文言で表現されるでしょう。しかし、包括遺贈には注意点があります。
 
遺贈者は相続人と同一の権利義務を負うことになるので、もし遺言者に負債があり、上記の「4分1」の包括遺贈の例をとれば、その負債の4分の1も負わなければなりません。借金がなくても、受け取ることのできる財産の割合が決まっているに過ぎず、どの財産をどれくらい受け取るのかは、他の法定相続人または受贈者と遺産分割協議で話し合わなければなりません。法定相続人にしてみれば、「第三者である受贈者と話し合うのは癪だ!」という気持ちもあるでしょうし、受贈者にとっても精神的負担になるでしょう。
 
それで、どの財産をどれだけ遺贈するかをはっきり決める 「特定遺贈」 の方が、問題は生じにくいと言えます。もちろん、法定相続人の最低限の取り分である 「遺留分」 を侵害しないように注意する必要はあります。

遺言の撤回について

一度遺言を書いた後でも、その内容を撤回することができるでしょうか?民法1022条には「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」と規定されていますから、遺言は撤回できるのです。
 
前述の条文にもあるように、遺言を撤回できるのは「遺言者」です。その代理人等が遺言の撤回をすることはできません。
 
また、「遺言の方式に従って・・・撤回することができる」ので、単なるメモ書き、内容証明郵便、音声・映像記録などで撤回することはできません。公正証書で作成した遺言であっても、自筆証書遺言で撤回することはできます。自筆証書遺言もれっきとした「遺言の方式」だからです。もちろん、この場合にも自筆証書遺言の作成はそれが無効とならないよう、細心の注意が必要となります。
 
後の遺言の中に「以前(平成○○年○月○日作成)の遺言は撤回する」という文言をいれておけば一番わかりやすい撤回ですが、そうでなくても、以前の遺言を明らかに否定するような内容となっていれば撤回されることになります。
 
法定の撤回事由(民法1023条、1024条)の他に、内容の抵触する遺言を残すことでも以前の遺言を撤回できます。以前の遺言の内容の一部と、新しい遺言の内容の一部のみが抵触する場合は、その抵触する部分のみ撤回されることになり、そうでない部分は有効ということになります。