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【行政書士のお役立ちブログ】

英文契約書

英文契約書:「完全なる合意」条項

英文契約書の一般条項の一つに、「完全なる合意」(Entire Agreement) というものがよくあります。
 
これは、当該契約書に規定された合意のみが拘束力を持つ、ということを規定するものです。つまり、その契約で扱っている対象に関する他の契約書・合意書・念書・覚書・口頭の合意・以前の話し合いで取り決めたこと全てに優先して、当該契約書が適用されるということです。「契約書には含まれていなくても、あなたは前に約束したじゃないか」 という異議が入り込む余地をなくすのです。
 
一方、一般的な日本語の契約書には、「本契約で定めていない事柄が生じた場合、甲及び乙は誠心誠意話し合って解決するものとする」 というような文言がよくあります。もしそうできるのならそれは素晴らしいことです。本当にそれができるのなら、法律で契約書の作成・交付が義務づけられている種類の取引でない限り、そもそも契約書はいらないかもしれません。できることならそうしよう、という心は日本人の美徳だと思います。
 
美徳はえてして特定の文化圏限定で通用するものです。そして、海外取引においてはその美徳が命取りになることも。英文契約書では、「話し合う」という規定の代わりに、「通知」する規定が多いように思います。何日以内に書面で通知しなければならない、といったものです。裏を返すと、通知義務さえ果たせば話し合わなくても希望が通るということになります。

and や or の連発

英文契約書の特徴の一つに and や or を連発した並列・併記を含む文があります。どの単語・句・節・考えを and や or でつないでいるのか、じっくり読み込まないと見えてこないこともあります。
 
and は、普段は「および」としますが、並列のレベルを見て「ならびに」とすべき時もあります。同様に、or も普段は「または」としますが、やはり選択のレベルを見て「もしくは」とすべき時があります。実際には、文全体の複雑さ等も考えて、適宜、「・」(中点)も駆使したりします。
 
なんにせよ、契約書は、正しく、解釈の余地を残さないように訳さなければなりません。(契約書の原文を書いた当事者が、あえて解釈の余地を残したかった場合は別でしょうけれど)

統一商事法典&合衆国法典

英文契約書に良く出てくる表現で、「・・・についてはUCCの定めに従う」 とか 「U.S.C. 11編の規定のとおり・・・」 などがあります。
 
 
UCC = United Commercial Code = 統一商事法典
 
統一商事法典とは、州によって商法や民法が違う米国で、
州際取引の円滑化のために民間団体の作成した商取引
に関する規定集のことです。珈琲の会社ではありません。
 
 
USC = United States Code = 合衆国法典
 
合衆国法典とは、米国連邦法のうち一般的・恒久的なもの
を集めた法令集で、1編~50編まで種類別に分類されて
います。南カリフォルニア大学ではありません。
 
 
これら、米法の基本的知識があると、難解と思える英文契約書が少し読みやすくなります。
 
英語のリスニングにも言えることですが、言語の知識が足りなくて理解できない部分も、その他の背景知識を持っている事で、「ああ、きっとここはあの事を言っているんだろうな」と補完しながら情報を解釈してゆけるものです。英文契約書を読み解くために英米法の幅広い知識が助けになります。

英文契約書:意図を汲み取る

契約書翻訳業務で毎回感じることがあります。
 
「ネイティヴがドラフトした英文契約書にも文法的間違いや曖昧さがある」
 
ということです。これは本当に厄介で、自分が理解できていないだけなのかどうなのか、ドラフトした人の癖なのか、本当にいい加減な文章なのか、判断するのに時間がかかったりします。2通りの意味にとれたりとか。文法的にその通り読むと、常識的にまたは法律的につじつまが合わなかったり。
 
 
こういう場合、大切なのは 「意図を汲み取る」 ということだと思います。特定の条項の全体を読んでみて、「ああ、こういう内容のことを言いたいのだな」 とまず俯瞰し、その後訳すために細部を読み込んでいきます。
 
こうすると、多少曖昧な部分や意味不明に思える部分も見えてきて、「あ、ここに and を忘れたんだな」 とか 「不必要なコンマを使う人なんだな」 とか気づいたりします。ただし、この場合必ずコメントをつけて、訳出の意図を記しておきます。
 
米国の文章と英国の文章の微妙な違いもありますから、英文契約書は本当に奥が深いと思います。
 

英文翻訳:カンマ(, )の使い方

日本語の読点とは違い、英語の punctuation (コンマやセミコロン等) の用法は厳密に規定されています。日本語のようにある程度自由に打っても意味が保たれることがないのです。もちろん、ほんの少しの例外もありますが、基本的には好き勝手な所に用いることはできません。
 
逆に、省略することも許されません。翻訳原文で時折、コンマを省略している文を見ます。等位接続の and, but, so などの前のコンマが省略されていることが多いように思います。でも、この場合は、新たな主語+動詞が出現してくるのですぐにそれと分かりますから、混乱することは少ないと思います。
 
しかし、等位接続詞 and の直前が (文脈上) 主語にもなり得る名詞で、それに続く節の主語がand で並列になっている二つの主語である場合、どうしても正確に解釈できないことになります。
 
例えば、
 
・She said she liked tuna and salmon and shrimp looked good, too.
 
・「彼女はマグロが気に入ったと言ったし、サーモンやエビも美味しそうだった」

英文契約書のラテン語表現

英文契約書には日常で聞きなれない表現が多く出てきます。特にラテン語の表現が未だに使われているのが特徴です。例えば、
 
in lieu of ~ = ~の代わりに
 
例: In lieu of all other warranties,ABC hereby bear and incur an entire 
             responsibility regarding the Shipment.
 
     (他の全ての保証に代わって、ABC社は本契約によって積荷に関する全責任
              を負うものとする。)
 
要は、instead of の意味ですね。さらに、
 
     bona fide(s) = 善意の、誠実な、本物の、真正な

英文契約書の読み解き方:長文

英文契約書を読み解く際にハードルとして思い描くのが法律の専門用語かもしれません。確かに、英米法に由来する用語やラテン語にも戸惑いを感じるかもしれません。
 
とは言っても、それらの用語も憶えてしまえばそれほど問題ではありません。そのつど専門書や辞書を引いてもよいですし、インターネットで検索することもできるでかもしれません。
 
問題になるのは、「一文が長い表現の読み解き」 だと感じています。契約書によって文章の複雑度(または簡明度)はまちまちですが、ものによっては一文がA4用紙1ページまたはそれ以上になる文が含まれることもあります。つまり、大文字で始まる文頭から、その文を締めくくるピリオドまでがそれほどの長さになるのですから、主語・動詞の関係、主節・従属節・さらに下部の節の関係、修飾・被修飾関係を解読するのに骨が折れるのです。
 
基本的に英語と日本語では「文章」の構造のみならず、「文」の構造も違います。それで、翻訳の際には 「異常なまでに長い一文を意味の上で区切るポイントになる語やpunctuation (カンマやコロン)」 を見つけて解読し、日本語として簡明な訳に仕上げることが大切だと思っています。