行政書士 室本法務事務所 - 国内/国際相続 遺言
遺言・相続の重要用語 遺留分減殺請求権についてご説明します。


遺留分減殺請求について


遺留分減殺請求権とは

  遺言者には、自己の財産を遺言により自由に処分することが認められていますが、一定

の相続人には遺留分が保証されています。この遺留分を侵害されていることを知った相続人

は、遺言者から生前に贈与を受けた者で条件を満たす者や遺贈によって財産を得た受遺者

さらには遺言によって多くの相続分を指定された共同相続人に対して、遺留分が満たされる

限度までの額に相当する財産を取り戻すことができます。これが遺留分減殺請求権です。


遺留分減殺請求権の相手

  自己の遺留分が侵害されていることを知った相続人は、その侵害が生じる原因となった

贈与、遺贈または相続分の指定を受けた者に対してこの権利を行使することになります。

  例えば、Aには子である相続人B、CおよびDがいて、Aの遺言によれば財産6000万円を

下のように分ける旨遺言に記して亡くなったとします。


   ・Bに全財産の3/4を与える

   ・Cに全財産の1/4を与える


  このままではDは何も得られませんの。そこで、遺留分である財産の1/6=1000万円を

請求することになります。問題は、誰に請求するかということです。この問題に備えている

のが民法第1034条です。


   民法第1034条:遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者

             がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


   上の遺言だと、Bが財産の3/4=4500万円、Cが財産の1/4=1500万円を得るように

なっています。それで、Dは、自己の遺留分が侵害されている限度で(1000万円まで)Bと

Cの両方に請求できます。上の1034条によれば、「その目的の価額の割合に応じて」と

ありますから、以下の割合で減殺請求します。


  Bに対して → 4500万円÷(4500万円+1500万円)×1000万円=750万円

  Cに対して → 1500万円÷(4500万円+1500万円)×1000万円=250万円


 以上は、極めてシンプルなケースを想定した計算例です。実際には贈与、死因贈与、第

三者への遺贈や贈与の時期などを考慮しなければならない場合があり、複雑になってい

きます。


行使できる期間

  民法第1042条には、遺留分減殺請求権を行使できる期間が示されています。


   民法第1042条:減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき

             贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、

             時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、

             同様とする。


  上の条文の「一年間」は消滅時効の期間で、「十年」は除斥期間です。つまり、十年間

ずっと相続が開始したことや減殺できる贈与又は遺贈があったことを知らなかったとしても

その期間が経過すればもはや権利を行使できないというわけです。この時効や除斥期間

の制度の趣旨は、早期に財産関係・取引関係ひいては社会経済を安定させるところにあり

ます。それで、以下のような特殊な場合は条文の上辺だけを適用するわけにはいきません。


  例: Aは遺言により家屋をBに遺贈する旨記して亡くなった。この家屋にはAの相続人

     であるCが住んでおり、Cはこの遺贈により自己の遺留分を侵害されることを認識

      していたが、遺贈を受けたBが特に明け渡しなどを求めてこないのでこの家屋を

     占有したまま2年間減殺請求しないでいた。その後、BがCに対して家屋の引渡し

     と移転登記を求めてきた。一見、Cの遺留分減殺請求権は時効により消滅した

     ように見え、CはBの要求に応じざるを得ないようだが、1042条の趣旨である

     「長年維持された経済状態を壊してまで遺産の返還をさせることの害を防ぐ」

     ということに鑑みると、立場は逆ではあるが、長年維持された占有状態を解消

     させることを求める引渡し要求を防御するための遺留分減殺請求権の行使は

     時効により消滅しないと解するべきである。(抗弁権の永久性)

 

  例: Aは自己の死亡3か月前に、友人のBに対して家屋を贈与し、引き渡しと移転

     登記を終えた。Aが亡くなり、その相続人であるCはこの贈与によって自己の

     遺留分が侵害されていることを知り、1年の時効前に遺留分減殺請求を意思

     を表したが、当該家屋のBによる占有はその後2年続き、Cはその間何らBに

     対して請求をなさないでいた。2年経過後、改めて引き渡しと移転登記の請求

     をした。一見、一度期間内に遺留分減殺請求を行使しているので、その請求

     に基づくとする引き渡し請求は有効のように思われるが、最初の遺留分減殺

     請求によって時効は中断されたものの、その後2年何も請求をなしていないこと

     から、この時点ではすでに消滅時効にかかっていると理解することが、民法第

     1042条の趣旨に沿うと言える。


行使の方法

  遺留分減殺請求権は、何か所定の様式で行うことが定められているわけではなく、

遺留分減殺の意思を表示すれば行使したことになります。ですから、口頭で 「あなた

が相続財産を得たことによって、私の遺留分が侵害されておりますので、私の遺留分

が満たされる限度で減殺を請求します。」と言うことによっても行使することができます。

  ただ、遺留分減殺請求権を行使できるのは前述の期間内に限られているので、

相続の開始および遺留分減殺ができる相続財産の存在を知ったときから確かに1年以内

に請求した、ということを後々証明できるようにしておくべきでしょう。減殺を受ける側から

すれば、なるべくなら財産を減殺されたくないので、口頭だと「言った」「言わない」の水

かけ論になってしまうからです。

  それで、遺留分減殺請求は書面で行使することをお勧めします。書面なら後に争いに

なったとしても証拠として残ります。特に、配達記録付の内容証明郵便で送るなら、証拠

力という点ではかなり強力になります。多少の郵便料金はかかりますが、内容証明郵便

によって遺留分減殺請求を行使しましょう。










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